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シンイチロウさんの愉快な、しかもお堅いお話 [ブログ紹介]


(R 中村氏に賜る)

『国民クイズ』体制に移行!
いやしかし、今回の選挙結果ワ・・・。



「でも、小泉が自民党内の旧保守派をやっつけちゃったんだから、民主党だって自民の旧保守派を嫌ってたんでしょ。そこだけ見れば、ヨカッタネってことになるかなぁ?」。

 と我が脳内人格のA君(27才、男性、独身。時事ネタ好きの団体職員)が、同じく我が脳内に住むB嬢(30才、女性、シングルマザー。子どもは実家に預けて、昼はドトールコーヒー、夜は週3回の割合で六本木のクラブでバイト)へ話しかける。

 「あら、イヤだ~。あなた鼻毛すごいわヨッ、あっははっイヤっだ~」

「なんだよー。鼻毛ぐらいでそんなに爆発しなくってもいいじゃんかよー」

「だ~てッ。鏡見ておいでよ」

話の腰をいきなり折られたA君、しぶしぶ鏡を覗いて見ると、たしかに右の穴から5本、2cmぐらいに カールした鼻毛がアチコチ思い思いの方向に飛び出ている。

こんな鼻毛のすました顔で、話しかけられたらさぞ可笑しかろう。さっきサンクスまでスポーツ新聞を買いに行った。この鼻毛で。

あわてたA君、鼻毛掃除用の小鋏を穴の置くまで突っ込んだ。小鋏の先端は、安全のため丸く処理してあるが、勢い余って軽く鼻の内側の粘膜を傷つけてしまった。

「イテテテテ」

尻ポケットから取り出したティッシュで鼻血を押さえつつ、コソコソ洗面所から出てきたA君。それでもめげずに話を続ける。

 「だからね、民主党を支持してる人全員が、今回の選挙結果にガッカリか?っていうと案外そうでもなかったりして・・・ハックション!」

 「わたし、もともと民主も自民も変わんないと思ってるし。どっちが政権とっても、わたしみたいな子持ちの独身女の生活なんて頭ん中にないのサ。あんたのSALEM一本ちょうだいよ」

「なんだか、ヤサグレちゃったね。どうしたの?」A君、タバコに火をつけてやりながら、B嬢に訊ねる。

 「昨日サァ、”自分の会社の元部下が民主党の参議院議員”だっていうIT会社の部長が、博報堂の常連さんに連れられて来たの」

「そのオヤジから、エッチなことでもされたの?」

「わたし国会質問とか見ない人だし、その民主党議員って人のことは知らないんだけど、部長が係長だった時の部下だったんだって。一緒にタイに出張した時に女の子買ったんだなんて、最初はニコニコして話してたの。」

「たいていは話し半分でしょ。”国会議員も俺の部下。今はセンセーでも、昔は女遊びなんかするおバカな面も俺は知ってるゼ”なんてことで女の子に尊敬されるって。思い違いしてんだな」

「で、なんか民主党のマニフェストの説明なんか始めちゃって。そういうのって勉強になるから、真面目に聞いてたの」

「うん」

「そのうちわたしのことをいろいろ聞き始めたんで、”この人だったらいいかも”ってちょっとだけわたしの身の上を話したの」

 その部長氏、B嬢が未婚の母親で生活も苦労が多いという話を聞くに及んで、「六本木なら女の子とホテルでオールナイトの相場が6万円だが、10万出してやる。ホテルは全日空ホテルが顔パスみたいなもんだから、今みたいな深夜に行ってもどうとでもなる」などと売春話を持ち出したらしい。

B嬢としては、冗談とも本気ともつかない申し出に、返答に困った。第一「カネ払ってやるからヤラせろ」なんて言い草にムカッ腹が立つ。タイで女の子を買ったという話も、マジだったんだ。嫌な男・・・。

とは言っても客は客。怒らせてしまうと自分が首になる。そんなことになったら困るんで、適当なことを言ってはぐらかしていると、今度は携帯番号を教えろとしつこい。

  仕方がないから、au のメルアドだけ名刺に書いて渡したところで、別の馴染み客から声がかかったので、やっと部長氏から逃れることが出来た。

 「でさぁ、今朝携帯にさっそくメールが入ってて、今週の土曜日、夕飯一緒しよう。ドトールまで迎えに来るって。わたし、土曜日は飯田橋のドトールでバイトってことを言っちゃったし。土曜の夜、子どもは、おばあちゃんたちと伊豆にお泊り旅行だから、わたしはフリーだって話も知ってるし。ヤバイの」

「なんだか札束で顔をペシペシだね。感じ悪い奴だな~」

「そうなのよ。何がマニフェストよ。山拓と変わんないジャン」

 しばらく考え込んでいたA君。

「その部長は、単なるエロオヤジだから論外だよ。それはそうとして、民主党って少数者の人権を、どこまで視野に入れて考えてるのかナゾだね。自民党の考えとどこが違うのか、これというアピールがないし・・・」

「そうなのよ。偉いのは仕事に勝った金持ちなのよ。自民も民主も」

「力こそ正義。アメリカ大好きで大国志向の小泉路線と同じかもな。民主が政権握ってたとしても・・・。ふぅ」と、A君がため息をついた拍子に、さっき切って鼻の穴に引っかかっていた鼻毛が一本飛び出した。

 「それよかさぁ、土曜日。あなたボディーガードで夕方迎えに来てよ。彼氏ということにしてサ」

「そうだな、わかった。他人事じゃあないしな。協力するよ」

 



・・・そりゃ、他人事じゃないだろう。すべてわたし”シンイチロウ”脳内の人格なのだから。

  ところで、我が脳内のA君とB嬢の掛け合いにもあるように、二大政党だと言っても、根本は同じ。

 A君が言うように、おそらく民主が政権党になっても、外交・安全保障面では米国追随の大国志向・改憲による軍備正当化を推進。内政面では、シングルマザー・性的少数者・その他NEET、独身、不登校などいわゆる「はみ出し者」の人権軽視路線に変わりはないと思われる。

 そんな中で、今回よくぞ頑張ったと言いたいのが、辻元清美と保坂展人の社民党両氏だ。辻元氏は、「日本には、リベラル、あるいはある種ラジカルなものが必要」と主張する。



保坂氏などは、自身が中学時代に理不尽な学則のあり方に断固NOと叫んで学校体制と戦った筋金入りの闘士。タフガイだ。今回の棚牡丹(たなぼた)当選のエピソードも微笑ましい。

                               

 ふたりの当選は、一服の清涼剤のように爽やかだ。ご両人を擁する社民党の活躍を期待したい。

 しかし、現在の政治体制の中で、社民党のパワーは残念ながら小さ過ぎて、期待とはうらはらに心許ない感じを拭えない。

 わたしの中の絶望君が囁く。

”囁く”というか、いつか電車の中で見た酔っ払って暴れていたオッサンの如く不気味に叫ぶ。

「カット!カーット!アメリカも日本も。ちがうちがう世界ッ!やり直しッ!いっぺん全部終わりッ!ここ撤収!」

酔っ払いとは言え、「世界撤収」とはなかなかユニークなアイディアだ。陰気だが。

  まぁしかし、この奇天烈な発想に近い世界を説く思想家がいた。

 fuma さんという新進気鋭のコラムニストがその人である。

 ”国を憂うは売国奴”という辛口お笑いコラム(どんなコラムや)の中で、「このような政治状況が続くならば、漫画雑誌も全部廃刊になってしまうのである。かなしい。」とfuma さんは嘆く。

続けて、漫画『国民クイズ』の中で描かれる世界を引き合いに出して、「議会制民主主義はもうやめて、本当に『国民クイズ体制』にしたほうがマシである」と言い切ってしまうのである。

 『国民クイズ』という漫画は、わたしもかつて、1,980円という安いのか高いのかハッキリしない中途半端な散髪屋の順番待ち中に単行本で読んだことがあるが、世の中の閉塞感をぶち破ろうとする奇抜なストーリーである。

  杉元伶一の原作によるこの漫画は、議会制民主主義体制崩壊後、クイズに勝てば願いがかなう「国民クイズ体制」に移行した日本を舞台に展開する。

 1993年にモーニング誌で連載され、カルト的な人気を博したものの絶版になっていたが、今回9・11の衆院選を期に復刻された(← 9・11の衆院選を期に復刻という部分は、盛り上げるために言っただけ。嘘。スミマセン)。

 しかし、「自民党大好きッ」だの「慎太郎の息子って今回は成長したヨ」だの「小泉さんは閉塞感をぶち破ってくれる!」な~~~~んてコト言ってるのを聞くと、余計に閉塞感が増大して、ベンザリンと、ユーロジンと、ロプヒノールと、ラボナの催眠財カクテル4日分くらい服用しないと眠れなくなるような、不眠鬱病がぶり返す。『国民クイズ』でも読んで寝るか、と思ったけど持ってなかった。

                        オエッ!!

 

 


 



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